ワニの口は、そもそも頭を入れる場所ではありません。
そもそも不要なことをして、命を危険に晒すほど、愚かなことはない。
1998年度ノーベル経済学賞受賞のアマルティア・セン博士による講演・論文集。
『安全が脅かされる時代に』
要旨は、公的機関による全ての人への基礎教育が、安全な(暴力的ではない)社会をもたらし、安心の生活をもたらすために必要ということ。
第一に教育は確かに大切だと思う。
また、寛容性をもたらす教育が大切とセン博士は言っているが、寛容性は、場合によっては、惰性的で、他人の不幸に無関心な人間関係をもたらす可能性もある。「顔で笑って、心で憎んで」などと言うのは、形式的な寛容の一例だ。
教育とあわせて大切なのは、どんな価値観、道徳観、宗教観、哲学観に基いた教育かということ。
同じ教育を受けても、習得したこと(手段)を、排他的な価値観に基いて活用するのか、暴力的な価値観に基づいて活用するのか、それとも、暴力を避け、一人ひとりの人間性を活かすために活用するのか、価値観と教育との組合せが重要だと思う。