アジア・フリーク(Asia Freak)

タイを中心にアジア探索の記録

西安 2019年9月

 陸のシルクロードの東端、陝西省西安(かつての長安)。

 

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Photo:鐘楼 Zhōng Lóu

 

 西安長安)は、世界三大美女で有名な楊貴妃、『西遊記』で有名な玄奘三蔵法師)、日本から密教を学びに来た空海など、歴史の偉人たちが過ごした都市であり、日本の世界史でも習う「兵馬傭」があることでも有名。

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Photo:兵馬傭 Bīng Mǎ Yǒng

 

 習近平が進める「一帯一路構想(The Belt and Road Initiative、One Belt, One Road Initiative)」は、ミャンマー、マレーシア、タイ、ラオスも参加を表明している経済圏構想。中国に対する経済的な属国(債務のワナ)が問題視されてもいる。

 一帯は、陸のシルクロードを指し、西安を拠点に、中国の西部から中央アジアの地域を繋ぐ経済連携

 一路は、海のシルクロードを指し、中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東部までを繋ぐ経済連携

 

 一番興味があったのは、中国ムスリムの文化と食。

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 7世紀前半、アラビア半島ムハンマドが興した宗教ルネサンスによりイスラームが始まる。イスラームは、陸路海路のシルクロードを東に伝わるなかで、各地の文化に融合するように定着していった。

 新疆ウイグル自治区、タイのプーケットカンボジアのチャム族など、中近東では見られない独自のイスラーム文化が発展してきた。

 中国のイスラームについては、新疆ウイグル自治区ムスリムに対する共産党政権の思想弾圧という政治的文脈で報道されるくらいかもしれない。

 西安では、中国のイスラームがどんな様子か、モスクの建築や装飾、食文化など、独自の様式を見ることができる。

 

 共産党政権によるムスリム迫害等について、2019年6月17日、イギリスの「独立民衆法廷」が、最終裁定で、中国共産党は人道に反する罪を犯していると結論づけ、個人の旅行者も含めて、中国と関わることは、犯罪に関わることとした。

 中国との関りを断つべきとするイギリス独立民衆法廷の結論は、中国といっても、多くのムスリムが生活していること、ムスリムや社会的弱者を更に苦しめるようなリスクがあることを考慮していない、一方的な価値観の押し付けのようにも思える。

 むしろ、迫害地域と関わりを深め、多くの人が実態を知ることの方が大切なようにも思う。


英民衆法廷最終裁定「「中共は人道に反する罪を犯している」Tribunal Final Judgement

 

■佐賀~西安の直行便

news.line.me

 

雑記 2019年9月25日(水)

中国の空港

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 成田空港から上海に飛び、上海で中国への入国手続きを終え、国内線で西安へ。

 上海で飛行機から降りて、国内線への乗り継ぎメンバーたちを誘導するところから、誘導員ですら英語を話してくれない。入国手続き前の指紋登録やイミグレ、空港の航空会社サービスカウンターでも、案内員はすべて中国語。英語が通じたのは搭乗のチェックインカウンターのみ。

 ちなみに、上海に着陸し、飛行機を降りると、西安まで乗り継ぐ人たちに誘導員が中国語で声を掛けていた。

 xī'an(/ʃiiʔan/ シーアン)と早口で連呼したあと、

 sī'an(/siiʔan/ スィーアン)と別の発音でも早口連呼。

 西安は、中国語(英語)の発音ではxī'anだけど、乗り継ぎ便への誘導員は、日本語のセーアンに聞こえなくもないsī'anという発音でも呼び掛けていた。

 成田(日本)からの乗り継ぎもあるから、日本人向けに日本語で発音しているのかなと思いつつ聞いていたけど、あとあと、西安には、Xi'anのほか、Sianという別の英語表記もあることを知った。

 

 無事、上海空港で中国への入国手続きを終え、西安への国内線への乗り継ぎでも、搭乗ゲートまでの案内はすべて中国語。成田空港から一緒だった中国人の女性3人がちょうどいたので、搭乗ゲートはこっち?と身振り手振りで訊くと、流暢な日本語で教えてくれた。

 川崎のチャイナパブで働いていて、日本には30年ちかく住んでいるとのこと。まだ40代に見えたけど、既に孫がいて、西安には年3,4回帰っているという。

 西安の空港で荷待ちの時、その女性に、

『中国語わかる?』と訊かれ、

『わからない』と言うと、

『どうするの?』と言われた。

 多少の英語は通じるだろうと思っていたけど、結局、西安の街中で英語対応してくれる人に会うことはなかった。

 女性の息子は、日本の大学を卒業し、日本語検定1級の流暢な日本語を話す。平日の深夜にも関わらず、西安市内のホテルまで、息子さんに車で送ってもらってしまった。

 車で送ってもらう時、いろいろ話をした。

 西安にも狗料理を出す店はあるらしく、女性は狗肉は好きだけど、息子は興味もないようだった。料理は、ムスリム文化のせいか、羊肉が美味しいとのこと。

 気候は、9月はまだ暖かいけど、冬はとても寒いらしい。

 

 英語すら通じず、日本人も多くない西安で、日本語でいろいろ対応してくれて、ホテルまで送ってもらったのは、とても助かった。

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西安咸陽国際空港と西安市街の交通手段

1.タクシー

2.エアポートバス 1人25元

 7時から24時までの時間帯であれば、エアポートバスが便利。

 停車場所は、西安空港、空港商務酒店(西稍門店)西安钟楼饭店

 20分間隔で発着、やや渋滞の時間帯でも、片道1時間ほど。

 危険走行はせず、バス座席も比較的綺麗。

 西安のほか、咸陽などの近隣都市や遠方へのバスもあった。

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空港商務酒店(西稍門店)

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西安钟楼饭店

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西安のホテル

 ホテルまで車で送ってもらったけど、GPSアプリの指す場所がずれていて、車で探し回ってもらうことになった。

 ようやくホテルの看板を見つけたけど、入り口が分からず、ぐるぐる20分ほど歩き、呼び込みかと思って無視していた中国人にすべて中国語で説明され、ジェスチャーで会話し、看板の横にあったビルの10階であることが分かった。

 エレベーターで10階に着くと、受付は無く、10階をウロウロ。

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 見ると、ホテル名の張り紙があるドアがあり、ノックすると、「入ってこい」というような声が聞こえた。

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 入ると、ホテルの受付で、無事チェックイン。

 チェックインの時も、チェックインという英語すら通じず、すべて翻訳アプリに向かって話すよう言われた。

 デポジットで100元払うよう言われたけど、両替するタイミングもなく来たので、翌日、近場のホテルで両替して100元を渡した。

 ホテルの部屋は、比較的綺麗だったけど、どこへ行っても中国語しか通じないのは、本当に困った。

 

キャッシュレス決済

 日本では、コンビニでもクレジットカードで支払いできるようになってきたけど、西安では、ストリート屋台でもキャッシュレス決済ができることろが多い。

 QRコードを読み取り、キャッシュレス決済(電子決済)できる。

 見ていると、路線バスでも同じキャッシュレス決済をしている人が多かった。路線バスでは、現金払いの人のために小さな賽銭箱のような箱があるけど、現金払いしている人をみることは少なかった。

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Photo:回坊(ムスリム街)のドリンクスタンド。おじさんの前にあるQRコードで電子決済できる。電子決済の登録が必要。

 

列に並ぶ中国人

 一度北京で経由したことを除いて、中国へ行くのは10年振り。

 上海空港でも、西安でも、とにかくみんな列に並びます。並ばないことは当然モラルに反するといった雰囲気です。

 タイでは、中国人観光客がこぞって列を抜かそうとする様子をよく見る気がします。サイアムのBigCは中国、ベトナムの観光客がレジに長蛇の列をなして、割り込もうとしたり、会計しながら品定めしたり、値段交渉していることもあります。

 中国本土では、そういう様子をみることはなく、割り込むことを好しとせず列に並ぶし、会計時に交渉して回りにお構いなしということはありませんでした。

 10年前、北京や深浅では、割り込みは当たり前だったと思います。

 中国といっても地域差はあるのかもしれませんが、確実に、利便性、環境問題はよくなっているように感じました。人間性も、西安の人たちはみんな親切で、温和な雰囲気がありました。


Chinese ticket seller scolds woman for cutting queue

 

 2001年頃、これからの数世紀は、西欧哲学に対して、中国哲学インド哲学が意義をもってくるという主張を読んだことがあります。

 マンモス人口を抱える中国は、欧米基準の外圧に対応しながら、道徳ある理想に向けて、急な変化をによるリスクを見極めながら、少しずつ進もうという意志があると思います。

 人権や民意を大切に、歴史、文化を発展させ、諸問題を乗り越えて中国がどう進むかが、中国の魅力だと改めて実感。