タイのビックリ事情に、また遭遇。
日本での身元確認が常識だと思っていると、タイでは非常識なことがありふれている。
そんな驚きの事例に出くわした。
2017年9月26日
とあるベトナム人QM(25歳)は、普段、気の抜けた生活態度と不摂生が祟り、ヂェップ・コー(เจ็บ คอ jèb KHɔɔ 喉が痛い)と2日ほど寝込んでいる。
その癖、夜な夜な遊びには出かける。
見ていると、毎月1回、ヂェップ・コーと言っている。
その都度、タバコと酒を止めるように言ってはいるが、些細な欲望の世界から抜け出せない(抜け出す意志もないサバーイ・サバーイな)人生をおくっている。
まさに仏教哲学で分析される「六道輪廻」の世界。
平たく言うと、自己規律が働かず、外的要因に一喜一憂するような、低次元の欲望に囚われた生命状態。 六道 - Wikipedia
イスラーム哲学では、内的ジハード(自己努力)という用語がある。他者や環境に規律を求める外的ジハードより、内的ジハードの方が重要と説かれる。外部に規律を求める戦闘などより、自己を高め、言論で平和裏に社会に働きかけることの方が、より高度で崇高とされる。
また、六道輪廻の低次元を彷徨って、混沌として、大切なことを見失っている状態を、イスラームではジャーヒリーヤ(無知)といっている。
喉の薬を買っていこうか、とメッセージを打ったけど返答が無い。
そうこうしてるうちにQMが帰宅。
ヂェップ・コーが酷く、チュラロンコーン病院まで行ってきたという。
ウチの裏にも、それなりに大きな病院があるのは知っているはずだけど、何故、チュラロンコーン病院なのかは分からない。
たくさん薬をもらって、全部で2,000バーツも掛かったらしい。
見ると安く市販されている薬が半分。夜間診療の料金がかさんだんだろうか。
必要最低限の薬を薬局で買えば500バーツもしなかったと思うよ、とは言っておいた。
要は、原因は、ジャーヒリーヤな日常生活だろうから、市販の薬を買って、不摂生を止めればいいだけだ。
まず驚いたのは、薬の袋に書いてある名前。
QMの名前ではなく、TRの名前だ。本人曰く、TRのパスポートで受診したとのこと。
自分のパスポートがあるのに、何故、他人のパスポートを使うのか。
パスポートの写真と受診者の顔が違うのに、チュラロンコーン病院ともあろう大病院で、そんなことが罷り通るのか。
ちなみに、TRが、まだタイに居たことにもビックリ。
TRは、2週間前の夜、道でバッタリ会い、既に酔っぱらっていた状態で、
『明日、ベトナムに帰るから、これから飲みに行こう。金はTRが払うから。』
と絡んできた。
更に根性腐ったクソガキ達もやって来たので、交差点で違う方向に歩いて、そのままバイバイした。気付いたTRが遠くから何やら叫んでいたけど、近くの警察官が何事かと見ていたので、酒に呑まれるような質の悪い人間には関わらないのが賢明。
更に驚きは、受診者の診察カードは、LHのものだった。診察カードには、写真と名前が入っていて、実際の受診者とは、明らかに違うのは、見て分かるだろうに。
整理すると、
受診者はQMで、身分証明書はTRのパスポート、診察カードはLHのを提示して、受診し、薬が処法された。
輸血が絡む診療であれば、恐ろしい結果になるだろうと、混沌としたジャーヒリーヤなタイの病院事情にはビックリする。