アジア・フリーク(Asia Freak)

タイを中心にアジア探索の記録

ハラールマーケット最前線

ハラールマーケット最前線

ハラールマーケット最前線

 

■レビュー

 

ハラール」マーケットを概観する読み物的な入門書として有意義だった。
 
ハラール市場
イスラームが表だって優勢とは言えない非イスラーム国家である日本にとっては、日本国内向け(Inbound)と海外向け(Outbound)との2つのハラール市場があるということ。
 
ハラール基準
世界で統一したハラール基準が無い現状では、ターゲットとする各国の基準を別個に満たす必要があること。
 
各国で基準が異なるだけではなく、旅先などの環境によっては、ムスリムイスラーム教徒)の各個人によっても、ハラールの認識に差異がある現実が、事例とともに紹介されている。
 
細かな基準の詳解はせず、基本となる考え方の触りを、イスラーム理解の基本事項と併せて、分かりやすく解説している。
 
ハラールの意義
簡単に言えば、イスラーム的には、神が定めたことだからというのが第一義で、その目的は、アルコールによって酩酊状態で理性を失ったり、喧嘩ごとを防いだりと、人間の健全な生活と社会のためだからということだ。
そのため、対象は、食以外にも、医療、物流、化粧品など、多岐にわたる。
 
イスラーム国家にとっての意義として興味深かったのは、
ハラール食とは、日本人はもとより世界中の誰もが安心して食べられる食品(P166 サラムフーズプロセッシング 町田氏)」ということ。
ハラール認証取得の過程を通じて、安全安心の食を目指す。
ハラール認証を、安全安心の第三者認証として捉えていることは、興味深い。
 
その他、ハラール基準に厳しいサウジアラビアで、学識経験者の一部から、医療目的であれば若干のアルコールの使用は許されるのでは、との見解が出ているというもの興味深い。