行け!ベトナム街道 (JETRO BOOKS)
呆れるほど貧しい人々が、底抜けに明るい笑顔を私に向けて弾かせる。貧しくとも健気な心遣い、暖かい目の光、無垢で素直で美しい心に何度、理屈ぬきの感動を覚えたことか。
あとがきのこの冒頭には共感する。
道中、タニシを生で食いながらお菓子をねだってくる気味の悪いおばさん、水力発電所近くにひっそりと生計をたててきたさかいさん。
異国の見知らぬ地では一層現実的な警戒心が必要なこと、政治や戦争の歴史に翻弄された一日本人の人生に偶然巡りあったことなどは、特に貴重なエピソードだと思った。
ほか、ベトナム人に纏わる、もろもろのエピソードは、日頃、ベトナム人たちに接している身としては、共感することばかりだった。
何の縁か、ベトナムに関わってしまった人の体験記として、とても興味深く読ませていただきました。
出版(1997年)から18年経った2015年に手にした本ですが、本質的には今も変わらないベトナムの人たちを、愛着をもって捉えるいい本だと思います。
ベトナムに感心ある方には、お薦め。