ビルマ―「発展」のなかの人びと
■内容
日本とは昔から関係が深いビルマ。そこではいま、「開発」を優先する軍事政権と、国民の希望を背に民主化をめざすアウンサンスーチーたちの勢力が緊張関係にある。30年以上にわたってビルマとかかわってきた著者は、人びとの肉声を通じてその生活を紹介しつつ、政治・経済・社会の現状を解説し、在日ビルマ人の暮らしも活写する。
■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
田辺/寿夫
1943年埼玉県生まれ。大阪外語大学ビルマ語学科卒。1966年~2003年、NHK国際放送局でビルマ語ラジオ番組の制作を担当。現在、フリージャーナリスト
■目次
はじめに
第1章 多様な国
1 広大な大地
2 地域の特色
3 ビルマ人の生活サイクル
第2章 民主化闘争の軌跡
1 一九八八年に何が起こったのか?
2 国軍は「国のかなめ」
3 民主化勢力はいま
第3章 市場経済への道
1 政治状況はどう変わったか
2 「発展」をめざして
第4章 国際社会のなかで
1 軍事政権と国際社会
2 民主化勢力を支える国
第5章 日本のなかのビルマ、ビルマのなかの日本
1 日本との深い関係
2 在日ビルマ人の日々
おわりに
あとがき
主要参考文献
本書に登場する略語一覧
主要年表
■レビュー
現在のミャンマー (ビルマ)を理解するのに良い入門書だった。
1996年出版以来、時代や環境は変わっているが、1945年以降の戦後ビルマの経緯概略を掴み、現在のミャンマーを理解するための歴史的経緯が、読みやすく、コンパクトに纏められている。
アウンサウンスーチーについての記述や、日本軍のインド・インパール侵攻で拠点となったチン州の人たちのエピソード、ロヒンギャー (ロヒンジャー、โรฮีนจา、ရိုဟင်ဂျာ)と軍事政権、タイ、中国との地理的関係で発展が期待されるシャン州チャイントン、在日ビルマ人についてなど、節々にビルマやビルマの人に対する愛を感じられる。
ビルマの軍事政権や日本軍統治時代について、是非を評価するのが目的ではなく、ビルマを想う著者なりの視点に基づいたビルマ解説だと思う。

ビルマ 「発展」のなかの人びと 岩波新書 / 田辺寿夫 【新書】
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