アジア・フリーク(Asia Freak)

タイを中心にアジア探索の記録

モーターサイ(バイクタクシー)

http://www.asianews.it/files/img/THAILAND_Motorcycle_Taxi.jpg
(Photo:AsiaNews.IT)

  バンコクで、渋滞の影響をできる限り避けて移動する手段と言えば、モーターサイ(มอเตอร์ไซค์ mɔɔtəəsai)。

  基本的には距離に応じて相場が決まっているが、必ずしも理屈にあった値段設定ではない。その場所に応じて相場が決まっている。

  2015年くらいから、相場感の無い人のために、出発地から代表的な目的地までの料金表が要所要所に掲示されるようになった。

  ただ、この料金表とて、「間違ってる」「価格が古い」などと、一蹴され、別の値段を提示されることもある。

  エリアに応じた相場を分かった上で利用するという基本は変わらない。

  相場感に自信がない場合は、降りるときに問題とならないよう、乗る前に確認しておくといい。

 

2017年3月27日

  この日、こんなにまっすぐで力強いขอบ คุณ ครับ(KHɔ̀ɔbKHun KHráb コーっぷ クン クらっぷ)を言われたことはないということがあった。

  所要で、翌日の仕事にカメラを持参しようと確認したところ、メモリーカードが入っていなかった。いつも使ってるPCを見るとスロットにメモリーカードが入っていたけど、肝心のMicroSDカードが無い。残念ながら失くしたようだ。

  普通サイズのSDカードにMicroSDカードを挿してPCでデータを読み込み、そのままにしていたら、MicroSDカードだけ抜けて失くなったんだと思う。

  失くしたMicroSDカードは、128GBで1500バーツほどしたことを覚えている。

  翌日使う必要があったので、決断してCentral Worldまで買いに行くことにした。

 

  既に19:30。20:00で閉店するかもしれないと思い、渋滞知らずのモーターサイで行くことにした。

  通りでは、いつものモーターサイの顔ぶれが待機していた。

  Central Worldまでと告げ、幾らと訊くと、モーターサイの一人が100と言う。

  これまで何度も乗ったが、60から70が相場だ。少なくとも、外国人で、顔見知りの私に対しては、70を超えることはなかった。

  そばにいたモーターサイの他の一人で、普段からある程度の距離を行く時に乗っている若いお兄さんに、

「いつもは60、70で100を超えることはないよね?幾ら?」と訊いた。

  何故か、無表情で、あれ!?少し怒ってる?ような顔で、何も言わない。

  まわりにいたモーターサイの奴らが、混んでる時間帯だし80でいいんじゃない?ということで、取り敢えず乗った。

  しばらくすると、その兄さんは、

คน นั้น ไม่ รู้เรื่อง, เบื่อ(Khon nán mâi rúurʉ̂aŋ, bʉ̀a あの人たちは分かってない。つまらん奴だ)と言った。

  さっき値段を聞いた時、無表情で少し怒っているかのように見えたのは、正しかった。

  兄さんにとっては、これまで私との信頼関係があって、少なくとも一元客ではない。事情も知らず、吹っかけるような値段を言った奴らに対して嫌気がさしていたようだ。

  ただ、周りにいたのは、兄さんよりも年配者だったので、少しでも高い金額を払わせようと兄さんのためにしていたこともあり、年配者の意見を否定もできず、黙っていたようだ。

  乗ってすぐ、いつも通りの70でいい、と言ってきた。

  その場の状況が口を出し辛いと黙り込んだ兄さんの態度は、如何にもタイ人らしい。

  まぁ、値段を確認して乗るのは、タイ人でもやることで、普通のことだけど、状況によっては、訊かずに乗って、相場を払うというのも問題ない。

  あの場で、いつも顔見知りの兄さんもいたのに、複数のモーターサイが居るところで、値段を訊いたことは、避けるべきだったのかもしれないと思った。

  乗ってすぐ。70でいいと言われたが、変な値段交渉の場をつくってしまった申し訳なく思い、20バーツ札4枚の80バーツを渡して、お釣りは要らないと言おうと決めた。

  Central Worldに着き、80を渡して、取っといてと言うと、これでもないくらいに真剣な表情で、ขอบ คุณ ครับ(KHɔ̀ɔbKHun KHráb コーっぷ クン クらっぷ)と即答してきた。

  兄さんとしては、変な価格を吹っかけた奴らのことを申し訳なく思っていたようだが、こちらが逆に、そんな変な値段交渉の場をつくったことに申し訳なく思い、その気持ちを10バーツ乗せて渡したことに、兄さんはウルウルしたようだ。

  こちらとしては、計った展開ではあるが、10バーツで、これほど価値(効果)を出せるとは思っていなかった。この10バーツで、兄さんにとっては、先程の嫌な状況から一転して、気持ちのいい結果に終わり、私にとっては、次回からもできる限り良心的な値段でモーターサイに乗れることが期待できる訳だから、10バーツでこんなに効果があったなら十分価値がある。

  なかなか勉強になった。