アジア・フリーク(Asia Freak)

タイを中心にアジア探索の記録

中国語のすすめ

中国語のすすめ (講談社現代新書 23)

中国語のすすめ (講談社現代新書 23)

 

 ■レビュー

 

  1964年出版の中国語の基礎知識についての導入本。

  戦前、幼少から中国本土に縁があった著者の中国、中国語への思いが、自然と専門家への道へ進ませた。

  中国語の導入的知識について、網羅的に、どの項目も興味深く読めた。

 

メモ

 

■中国の文字改革

  1928年、漢字を廃棄し、国字ローマ字化を図るも普及に難あり失敗。

  中国で漢字を廃棄する試みがあったとはビックリ。

 

■「支那」の名称について

  紀元前1400年頃、インドの古詩で中国を指してシナと言われる。その後、中国人がシナの音を支那、至那、脂那と転写。

  秦を外国語話者がシナと発音した(大漢和辞典)というのは、歴史の状況からありえない。(学僧蘇曼殊)

 

■是〜

  「今日は“祝日で”出勤していない」「“風邪を引いている”」「ビッグバーガーを“セットで”」のように、文の中で、状態や条件を明確に言う場合の表現がある。

  中国語、タイ語ベトナム語などでも同じ用法があるのは面白い。英語のbe動詞とは異なる。

中国語では「 〜」

タイ語では「เป็น pen 〜」

ベトナム語では「 〜」

 

■副動詞はタイ語、日本語と共通の発想

  言って“おく”、食べて“みる”など、日本語やタイ語と同じ表現方法がある。

 

■中国語と漢文、口語と文語

  簡単にいうと、

  • 漢文は、昔の文語(書き言葉)で、時代によっても変化する。
  • 中国語は、現代の話し言葉。以前は、口語(話し言葉)と文語(書き言葉)とで異なっていたけど、文語は、口語に合わせるように変化した。今でも、公文書などで、口語とは違う表記はある。

 

■今の四声とむかしの四声

昔:-----平声------、上声、-------、入声

今:上平、下平、上声、去声

  • 共通しているのは、上声のみ。
  • 平声が、上平と下平に分かれた。
  • 面白いのは、入声という声調。いわゆる日本語の「詰まる音」に近い音。「あ!危ない!」「ど、と押し寄せる」の「」で、一旦、喉で空気の流れを止める(声門閉鎖)の声調。これは、歴史的経緯や中国語との関連があるかは知らないけど、現代の標準ベトナム語にある声調。