アジア・フリーク(Asia Freak)

タイを中心にアジア探索の記録

らくらくタイ語文法から会話―本気で学習する人の参考書

 

日常生活の中で使用頻度の高い表現を厳選。約90の基本表現と全33編の会話文から実践的なタイ語が身につく。初級の会話テクニックが完璧にマスターできる参考書。練習問題つき。2002年刊の改訂版。

 

★レビュー

日常会話の基本表現を習得するのに良い。

 

言語が異なれば、表現が異なることがある。
日本語表現をタイ語ではこう表現するという箇所を、「日本語表現=タイ語表現」として解説してある箇所がところどころあるが、これだと、日本語とタイ語とで基本的な意味の違いが大きい場合、学習を進める中で、混乱をもたらす原因になると思われる。

 

例えば、

 

第1課で、「กับ kap がっぷ」を場所を表す前置詞として使うことがあると説明しているが、日本語表現=タイ語表現と紐づけており、解説としてはその場しのぎで、学習が進むにつれて要らぬ混乱になりかねないと思う。
あくまでも簡易的な文法、表現集として利用し、タイ語語彙のCore(基本的意味)については、よく考察しながら学習する必要がある。

 

第4課では、「เอา ao アオ = 要る、ほしい」と紐付けしている。
タイ語入門書では、よく見る紐付けだが、学習が進めば、「เอา ao アオ = 要る、ほしい」と捉えていると意味が取れず、混乱することになる。
「เอา ao アオ = 取る、take」が基本であり、「要る、ほしい」のような要求の意味は無い。
日本語で「要る、ほしい」と表現する場合、タイ語では「เอา ao アオ = 取る」と表現することがある、と解説することが、のちのちの学習を助けることになると思う。

ほか、第4課で、
「บะหมี่น้ำ bamiinaam = 汁そば」
「ก๋วยเตี๋ยว kuaitiao = タイ風きしめん
などと日本語での料理名を当てているところがあるが、
「khaao-naa-pet = 料理名」
「khaao-muu-dɛɛŋ = 料理名」
bamii-hɛɛŋ = 料理名」
と単に「料理名」としているところは、せめて料理内容が分かる書き方をするほうが、タイ語名称と料理のイメージの紐付けに便利だと思う。
「ก๋วยเตี๋ยว kuaitiao = タイ風きしめん」とあるが、この出版時、今では一般に使われている「米粉麺」という言い方は無かったのだろうか。

 

第6課で、「小皿を2枚ください。ขอ จาน เล็ก สอง จาน」は、タイ語訳が間違っている。
この日本語は、お皿を2枚という意味なので、「ขอ จาน เล็ก สอง ใบ」が正しい。
日本語と同じく、
お皿を意味する時の類別詞(助数詞)は「お皿2枚」と「枚(タイ語ではใบ)」、
料理を意味する時の類別詞(助数詞)は「餃子2皿」と「皿(タイ語ではจาน)」、
のように皿でも、皿か料理かで類別詞(助数詞)が異なる。