アジア・フリーク(Asia Freak)

タイを中心にアジア探索の記録

タイ不法越境、(ベトナム人)来年っていつ?

■タイ不法越境

 2020年3月、COVID-19の感染拡大防止のため、タイの近隣国は国境を閉鎖し始めた。

 タイとラオスカンボジアは3月23日、ベトナムラオスカンボジアは4月1日に正式に閉鎖。

 タイ国内は、COVID-19の感染拡大防止のため、あらゆる業種で営業停止、営業規制、外出制限が始まり、タイに出稼ぎ(不法就労)に来ていた近隣国からの多くの人たちは、いきなり収入が無くなった。

 事前に国境閉鎖の情報を察知して、タイのカンボジア人、ベトナム人などは、国境閉鎖までの短期間に急いで自国に帰った。

 

 その後、数か月して、タイ国内の感染者数が落ち着くと、陸続きの近隣国から、閉鎖しているイミグレを介さず、タイに出稼ぎに来るため不法入国する人たちが増え始めた。

 タイと国境を接しないベトナムからの不法入国者もいる。

 イミグレを通らないので、不法越境者は、パスポートを持っていないことが多い。

 一部は、逮捕されて報道で表にでるものの、不法越境を斡旋したり、山や川を渡って越境する人たちは絶えなかった。

 タイ政府は、長い国境をすべて監視することは現実的に不可能、国民の協力が必要だ、と言ったが、不法越境を斡旋しているのは、一部、ポケットマネーを稼ぎたい国境を管理するイミグレや軍の関係者であろうことは皮肉に思える。

 

 タイ国内の感染者は、国外からの渡航者数人が感染しているケースを除いて、国内感染者はほぼゼロだったところ、不法越境の感染者がチェンマイなどで見つかるようになり、2020年12月19日、特にミャンマーからの不法越境者が多いサムットサーコーン県で548名の新規感染者が見つかったという報道が出た。

 サムットサーコーン県と接するバンコクでも新規感染者が出るようになり、タイ政府は、再び、特定業種の営業停止、営業規制、県間移動の規制などを始め、接触感染のリスク低減のため、可能な限り在宅ワークの要請をした。

 多くの企業は、在宅ワークを再開し、1月中は商談など外部との対面を禁止、制限している。

 行政は、オフィスワークの人数を制限し、行政サービスに遅延が出ており、可能な限りオンラインでの遣り取りを推奨している。

 

 1月28日、タイ国内の新規感染者は756人で、そのうち724人は、サムットサーコーン県で、710人は出稼ぎ外国人、14人はタイ人とのこと。

新型コロナ 新規国内感染が746人 大半がサムットサコン県の出稼ぎ外国人 1月28日発表

 1月29日は、新規の市中感染者692人中686人がサムットサーコーン県。

802 new Covid-19 cases

 新規感染者の状況が落ち着き始めたエリアは、徐々に規制が緩和、解除され、バンコクでも1月22日からは営業規制が緩和、1月29日には、最も感染リスクの高いエリア指定はサムットサーコーン県のみが残り、バンコクパタヤーでは、アルコールを除く店内飲食は、6時から21時までだったのが、23時までに延長された。

 

 バンコクで目にするのは、多くの店舗が閉店し、多くの人が失業している状況。

 不法越境でポケットマネーを稼ぐ不法斡旋業者、不法に出稼ぎ労働者を集めて自分だけでも利益を得ようとする経営者など、あとはどうなっても知らないとする一部の人間のために、多くの人が経済的に苦しむ状況になっている。

 困難にある国民、市民の状況に応える政治が求められている。

 1月19日、カンボジアにいるカンボジア人に聞いたところ、不法越境の斡旋は自粛されていて、不法越境しずらい状況とのこと。

 

■(ベトナム人)来年っていつ?

 ベトナムに帰ったベトナム人TRから何度か「金を貸してほしい」という連絡があった。

 1月23日、「来年返すから金を貸してほしい」といわれ、4,000バーツを送金した。

 これで計10,000を貸すことになったので、「貸すのはこれで最後」と言った。

 奥さんと子供2人(1歳と3歳)がいて、ベトナムの田舎では仕事が無く、病院などにいくのに金がないとのこと。

 

 実際の遣り取り。

 ※出稼ぎベトナム人は、3ヵ月もすれば簡単なタイ語会話ができるようになるけど、多くは耳学習なのでタイ語の読み書きはできない。

 このTRは、ベトナム語にもある -ng /ŋ/ を、いつも g だけで表記するのは、方言の影響だろうか。

 ベトナム語スペリングを使ったタイ語誤表記あり)、タイ語の正しい音声表記、タイ語

Xa bai di may | sabaai dii mái
TR may mi tag chai hay thanakan | TR mâi mii taŋ jàai hâi Thanaakhaan
TR kho dum ich 4000 dai may | TR KHɔ̌ɔ yɯɯm ìig 4000 dâai mái
Bi na ma tham ngan TR chai hay | pii nâa maa THam ŋaan TR jàai hâi
Thog mot 10000 na | THáŋmòt 10000 ná
Hay dom do leu, may day ic leu na | hâi yɯɯm yə́ lǽæu, mâi dâai ìig lǽæu ná
Khap phom | KHáp PHǒm
Khop phun khap | KHɔ̀ɔp Khun KHáp
สบายดีไหม | 元気?
TR ไม่มีตางค์จ่ายให้ธนาคาร | TRは銀行に払うお金がありません。
TR ขอยืมอีก 4000 ได้ไหม | TRに4000(バーツ)貸してくれますか。
ปีหน้ามาทำงาน TR จ่ายให้ | 来年働きに来て、TRは払い(返し)ます。
ทั้งหมด 10000 นะ | 全部で10000ね。
ให้ยืมเยอะแล้ว ไม่ได้อีกแล้วนะ | もうたくさん貸してるから、これ以上は駄目ね
ครับผม | 承知しました。
ขอบคุณครับ |ありがとうございます。

 

 1月29日、何度もLINE電話があった。要件は、テト(ベトナム正月/中国春節 2021年2月12日)に向けて、買い揃えるための金が無いので、7、8,000バーツを貸してほしいとのこと。

 話を聞くと、これまでに銀行から20万、30万(バーツ)ほど借りているとのこと。

 借金を続けるだけでは、貧困の連鎖でしかない。

 タイでの出稼ぎといっても、何かスキルアップを目的としてもいないので、お先真っ暗だ。

 テトのお祝い事ということもあり、2度目の「これが最後」ということで、4,000バーツを送金した。

 

 「前にいろいろ借りた分も、時間掛かっても、返してきたでしょ。だから信じてほしい。来年タイに働きに出れるようになったら、必ず返すから」という。

 今は1月。またまた「来年」っていうけど、1年先?随分先だな、、、と思っていた。

 今回、LINE電話で話を聞いていて、「来年」の意味が分かった。

 TRは、2月のテト(中国正月)を基準に1年を考えていた。来年というのは、テトが終わって、タイに入国できるようになったらという意味だった。

 

 タイでは、夜に食事に行く話をタイ人としていると、「3時」とか言ってくる人が未だにいる。

 タイ語では、7時を1時として5時までカウントする言い方がある。特に19時から23時は、1時から5時ということが普通。ただ、午前7時から11時は、1時から5時という言い方があるものの、普段聞くことはない。

 タイでも2月の中国春節のお祝いはあり、更に、仏教に由来する4月のソンクラーンをタイの1年の変わり目として盛大にお祝いするものの、経済的には1月1日を新年とするので、ソンクラーン後を「来年」と言うことはない。

 

 各国、文化が違い、知らないと、同じ言葉でも意味が違い、誤解することがある。