アジア・フリーク(Asia Freak)

タイを中心にアジア探索の記録

ニューヨーカーに学ぶ 軽く見られない英語 (朝日新書)

ニューヨーカーに学ぶ 軽く見られない英語 (朝日新書)

ニューヨーカーに学ぶ 軽く見られない英語 (朝日新書)

 

 ■内容紹介

レストランで水を頼むとき、どう言えば周囲から一目置かれるか?
ネイティブからリスペクトされるには、発音や語彙力以上に「ていねいさ」「相手への敬意」「まなざし」が重要。
ニューヨークのあちこちを旅しながら、コミュニケーションの要諦がわかる一冊。

【目次】
●第1章 まず大切な、あなたの意識を変えること
・なぜか無言のビジネスマンたち
・挨拶でわかる幸福度
・リーダーになるための訓練/ほか
●第2章 「Thank you」「Please」は忘れてはいけない言葉
・レストランで体験したこと
・子供に教える魔法の言葉
・「Thank you」が1日を明るくする/ほか
●第3章 第一印象の決め手視線と笑顔
・「王様と私」の渡辺謙さん
・社交の場で「シャイ」は禁物
・ニューヨーカーは視線で相手の力量をはかる/ほか
●第4章 ニューヨーク地下鉄の楽しみ方
・便利なニューヨークの地下鉄
・電車の中の喧嘩を目撃
・拍手をした乗客たち/ほか
●第5章 名前を呼ぶ技術
・自分の名前にこだわりを持つアメリカ人
・仕事上の付き合いならば
・トムかトマスか/ほか
●第6章 イエローキャブを乗りこなす
・料金はかなり安め
・乗客拒否にあったなら
・出頭要請/ほか
●第7章 ニューヨークの有名人たち
・お隣のテーブルにやって来たのは
・ニューヨーカーのプライド
・パチーノのサイン/ほか
●第8章 チップを自由自在に扱う
・自然にあげたくなるとき
・レストランのチップは、心づけではない
・サービス料はあなたが決める/ほか
●第9章 外国人の英語に寛大なニューヨーカー
・悪気のない笑いでも…
・外国人の日本語に対する過剰反応
・ニューヨーカーは外国人の英語に寛容/ほか
●第10章 ホームレスの人々にあげるべきか、あげないべきか
・誰も目を合わせてくれない
・自分のストーリーを語るホームレスたち
・話題になった投稿ビデオ/ほか
●第11章 フィットネスはステータスシンボル
・みんな食べすぎ
・健康の大敵、甘い飲み物
・健康管理も能力のうち/ほか
●第12章 マンハッタンの動物たち
・しつけの良いニューヨーカーの犬たち
・シェルターから来た動物たち
・働くわんこたち/ほか

【コラム】
覚えておきたいニューヨーク流英会話
・何より大事な「あいさつ」
・大人使う丁寧な言い回し
・ショッピングは会話の機会
・地下鉄では気軽に尋ねよう
・会話の中に必ず名前を
・憧れのスターに出会ったら/ほか

内容(「BOOK」データベースより)

一流の人はこんな英語をしゃべっている!上質なコミュニケーションを約束する暮らして学んだ大人の英語術。アメリカ人の英語はカジュアルと思い込んでいる日本人は多い。でも実際には、品格のある人ほど丁寧な英語を話している。ネイティブから尊敬を受けるためには、どんな言い回しをすればよいのか?ニューヨーク在住のジャーナリストが明かす洗練された英語の極意。

 

■レビュー

  英語表現集ではない。

  ニューヨーカーの考え方や振舞いを事例を通して解説しながら、誤解を生じず円滑なコミュニケーションをするのに必要な英語表現を紹介している。

  考え方や振舞いは、アメリカの中でも地域差があり、アメリカとヨーロッパでも違いがある。

  この本は、ニューヨーカーについての本だけど、タイやカンボジアなどで見かける欧米からの観光客の振舞いを、更に理解する上でも参考になる。

 

  特に興味深かった点。

 

●第1、2、3章

  アジアでは、阿吽の呼吸で、言わないことで自己主張、自己表現する側面がある。

  一方、欧米では、ハッキリ表現することで意思を示すという違いがある。

 

●第4章

  電車で女性やお年寄りなどに席を譲らなくなった若者など、他者への思い遣りが欠けてきた現代の様子と、そのことに不満をもつ人たち。

  他者への思い遣りを欠いて、自分優先の生き方をする傾向は、日本やタイなど経済発展して核家族化する社会では同じように思える。

 

●第5章

  名前の呼び方にも注意が必要。

  〇〇と呼んでくれと言われない限り、いきなりニックネームで呼ぶと、相手の気分を害す危険がある。

 

●第8章

  チップをどう考えるか。

  タイでも、チップで生活している商売形態の人たちに対しては、サービスに対して、対価(チップ)を渡して、引き続き、人間関係を円滑にすることは、大切な要素だと思う。

  本書は、ニューヨークでのチップについての解説だけど、東南アジアに限らず、ヨーロッパや中東でのチップについて理解する上でも、考え方は参考になる。

 

●第10章

  喜捨をどう考えるか。

  路上のホームレスなどに対して、喜捨をどうするかも、個人の価値観がモロに出るところ。

  何が正解かは、社会や価値観の違いもあるので、一概には言い難い。

  本書では、総じてアジア系移民は喜捨する頻度が少ないようにみえるといっている。

  でも、タイ、ラオスカンボジア仏教徒はタム・ブン(ทำบุญ)、ムスリムはザガート(زكاة)といった喜捨をする教えがあって、市民生活に根付いている。

  また、例えば、貧困地域出身で、ベトナムからバンコクに出稼ぎに来ている20歳前後の若者でも、路上で物乞いしている人を見かけたら、すかさずポケットから小銭を掻き出して渡す様子を何度も目にしている。

  本書に紹介されている通り、自分が生活できる分は確保して、余裕がある分を分けて施すという価値観は、東南アジアにもある。

  喜捨の動機は、信仰心や育った社会的背景だったりする。

  本書では、『働かざる者食うべからず』の価値観をもった日本から観光できた若者が、腕相撲をして負けたので$1をホームレスに渡すストーリーが紹介されているけど、喜捨とは、相手に何かを求めたり、見返りや対価を計算してするものではないということだと思う。