プラサート・プレア・エンコサイ(Prasat Preah Enkosei)
- 遺跡名 :プラサート・プレア・エンコサイ(Prasat Preah Enkosei)
- 建設時期 :10世紀半ば、ラジェンドラヴァルマン2世(Rajendravarman II; 944-968)の治世
- 建設者 : バラモン(司祭階級)のディヴァカラバータ(Divakarabhata)
- 宗教 :ヒンドゥー
規模は小さいものの、この遺跡が貴重なのは、乳海攪拌のレリーフが残っていること。シェムリアップ周辺では、乳海攪拌のレリーフが残っているのは、アンコール・ワット、ベン・メリア、プリア・ヴィヘア、そしてこのプラサート・プレア・エンコサイの4箇所のみ。
シェムリアップのオールドマーケットから2.5キロ、散歩がてらに歩いて行けなくもない程の距離にある。
場所 Prasat Preah Enkosai (Google Maps)
近くに同名(?)の寺院があり、Google Mapsにも、勘違いして遺跡を写真をアップロードしている人がいるので要注意。
Google MapsなどのGPSで位置を確認しながら行くといい。
英語表記は、下記の通りさまざま。
Prasat Preah Enkosai
Prasat Preah Enkosei
Preah An Kau Sai
発音が難しく、地球の歩き方では、エンコサイと記載されているが、カンボジア人はエンコセー、エンコサェのような発音だった。
建設時期は、10世紀半ば、ラジェンドラヴァルマン2世(Rajendravarman II; 944-968)の治世。
建設者は、バラモン(司祭階級)のディヴァカラバータ(Divakarabhata)。
宗教は、ヒンドゥー。
この寺院は、王室による建設ではなく、ラジェンドラヴァルマン2世の娘を娶ったバラモン階級のディヴァカラバータが建てたもの。
寺院の設計プランは、3基の塔であったと考えられているが、現在残っているのは2基のみ。
写真一番左(南側)の塔が一番大きく、中心祠堂。
写真一番右(北側)の赤いストゥーパ(パゴダ)の位置に、本来、祠堂があった、もしくは、祠堂が造られる予定だったと考えられている。
中心祠堂のリンテル(まぐさ)には、ヒンドゥーの創世神話「乳海攪拌(the Churning of the Ocean of Milk)」が描かれている。
乳海攪拌とは、飲めば永遠の命を得られるという「アムリタ(Amrita)」を手に入れるため、神と悪魔(アシュラ; Asura)が協力して、乳海を攪拌する話し。
亀の王クールマ(Kurma またはアクーパーラ)を支点として、大山マンダラ山(Mount Mandara)に、大蛇ヴァースキ(Vasuki)を巻きつけて、ヴァースキの頭と尻尾とを、神々と悪魔たちが交互に引っ張りあい、マンダラ山を回して乳海を攪拌する。
太陽、月、女神、宝石など、あらゆるものを得たのち、アムリタが出現する。
亀王クールマの上で攪拌棒を持っているのがヴィシュヌ神(Vishnu)。
左側で聖牛ナンディ牛(Nandi)に乗っているのがシヴァ神(Shiva)
中央祠堂の対面。
リンテルには、ナラシンハ(Narasimha; ヴィシュヌ神の化身ライオン人間 the lion-man avatar of Vishnu)。
祠堂に残る碑文。
同じ敷地には、現代の寺院。
寺院は、古い時代の時代のラテライト土台の上に建てられている。